ゴーストと呼ばれた地味な令嬢は逆行して悪女となって派手に返り咲く〜クロエは振り子を二度揺らす〜
「それが……」
クロエはまたもや偽りの涙を流しながら、令嬢たちに昨晩の出来事を説明する。
「なんですって……!」
令嬢たちはたちまち怒りに震えた。異母姉のものを勝手に盗んだ強欲な異母妹に。
「あまりに異母妹が可哀想で、差し上げたのだけれど……スコット様を裏切るような真似をしてしまって……私はどうすれば良いか…………」
とうとうクロエはすすり泣きを始める。
令嬢たちはすっかり彼女に同情して、涙ぐむ者までもいた。
「クロエ様は悪くないですわ!」
「そうよ! 悪いのは物乞いみたいな異母妹じゃない!」
「泣かないで、クロエ様。わたくし、今回の件を婚約者に伝えておきますから。万が一のことがあっても、誤解のないように話しておきますわ」
「わたしも! もし、スコット様がお怒りになるようなことがあれば、断固抗議しますわ!」
「クロエ様はなんてお優しいのかしら。本当に感動いたしましたわ!」