ゴーストと呼ばれた地味な令嬢は逆行して悪女となって派手に返り咲く〜クロエは振り子を二度揺らす〜
「……皆さん、ありがとう。ちょっと怖いですが……スコット様には、正直に申し上げてみますわ」
「公爵令息様なら分かってくださいますわよ」
「そうよ、わたしたちも他の方にさり気なく広めておきますね。クロエ様は悪くない、って」
「あの平民上がりの異母妹、許せませんわ!」
「本当に! なんて図々しい!」
「ありがとうございます。でも、異母妹は不遇な立場に生まれて、可哀想な子なのです。彼女はまだ常識を知らないだけですので、どうか許してくださいませ。私としても、大切な家族ですから、早く立派な貴族になれるように尽力してみますわ」
パリステラ侯爵令嬢の殊勝な言葉に、令嬢たちは胸を打たれた。
(ここまですれば大丈夫そうね)
クロエはほくそ笑む。
逆行前は、継母と異母妹だけが社交界へ顔を出して、自分に対しての不名誉な噂を広げていた。
今度は、お返しにこちらが二人の悪評を吹聴するのだ。
さり気なく、間接的に。お優しい聖女様ぶって。