ゴーストと呼ばれた地味な令嬢は逆行して悪女となって派手に返り咲く〜クロエは振り子を二度揺らす〜
「そうだ、クロエ。もし良かったらコートニー嬢も今日の茶会の席に加えてくれないだろうか」
「えっ」
「彼女はお姉さんと一緒に過ごしたいんじゃないかな? ね、そうだろ、コートニー嬢?」
スコットがクロエの奥を覗き込んで言うと、コートニーはちょこんと頭を出してこくりと頷いた。
「ほらね」と、スコットは片目を瞑る。
「そうね。異母妹の分のお茶の用意を」
コートニーはスコットの提案に顔を輝かせて、ぴょんと飛び跳ねるように椅子へと向かって、とすっと座った。
彼女の無邪気な子供みたいな姿に、スコットの口元は自然と緩んだ。貴族令嬢としての作法は全然できていないが、彼女にはそれを許されるような雰囲気があった。