ゴーストと呼ばれた地味な令嬢は逆行して悪女となって派手に返り咲く〜クロエは振り子を二度揺らす〜
46 お茶会へ向かいます!
「まぁ、まぁっ! コートニーったら、すっごく可愛いわぁっ!」
玄関ホールに、クリスの演劇みたいな大仰な甲高い声が響いた。
今日は王太子の婚約者の公爵令嬢の主催するお茶会だ。
クリスとコートニーはこの日のために、気合を入れてドレスを誂えた。パステルピンクを基調にして、過剰なフリルで全身が埋もれそうなほどのゴテゴテとしたデザインだった。
「えへへ、あたしもそう思う」と、コートニーはくるりと回転する。
「まるで妖精さんね」
母娘はデザインに非常に満足しているらしく、喜色満面にドレスについて褒め合っていた。
(全く……。本当にセンスがないわね)
クロエは二人の隣で軽いため息をつく。
こんな悪趣味なドレスの異母妹の隣を歩くのかと思うと、嫌気が差した。
初対面の頃から感じていたが、二人とも感覚がおかしい。
侯爵家に入って少しは矯正されるかと楽観視していたが、母娘は侍女や一流のデザイナーたちのアドバイスは頑として聞き入れず、相変わらず妙ちくりんなドレスを着用していた。
このままでは、パリステラ家の名誉さえも傷付けるのではないかと、クロエは一瞬だけ危惧したが、逆行前に父に深く失望した彼女は、家がどうなろうと関係ない……と、傍観することに決めたのだった。
玄関ホールに、クリスの演劇みたいな大仰な甲高い声が響いた。
今日は王太子の婚約者の公爵令嬢の主催するお茶会だ。
クリスとコートニーはこの日のために、気合を入れてドレスを誂えた。パステルピンクを基調にして、過剰なフリルで全身が埋もれそうなほどのゴテゴテとしたデザインだった。
「えへへ、あたしもそう思う」と、コートニーはくるりと回転する。
「まるで妖精さんね」
母娘はデザインに非常に満足しているらしく、喜色満面にドレスについて褒め合っていた。
(全く……。本当にセンスがないわね)
クロエは二人の隣で軽いため息をつく。
こんな悪趣味なドレスの異母妹の隣を歩くのかと思うと、嫌気が差した。
初対面の頃から感じていたが、二人とも感覚がおかしい。
侯爵家に入って少しは矯正されるかと楽観視していたが、母娘は侍女や一流のデザイナーたちのアドバイスは頑として聞き入れず、相変わらず妙ちくりんなドレスを着用していた。
このままでは、パリステラ家の名誉さえも傷付けるのではないかと、クロエは一瞬だけ危惧したが、逆行前に父に深く失望した彼女は、家がどうなろうと関係ない……と、傍観することに決めたのだった。