ゴーストと呼ばれた地味な令嬢は逆行して悪女となって派手に返り咲く〜クロエは振り子を二度揺らす〜
(これで、あたしの勝ちね。あの女の悔しがる間抜け面を早く見たいわぁ~!)
コートニーの心の中では、笑いが止まらなかった。
ちょっと油断をすると吹き出しそうになるので、唇をぎゅっと噛み締めて我慢する。堪えた笑い声に身体が震えて、いい塩梅に哀れに見えるだろう。
自分たちの貴族社会からの評価は噂で知っていた。
ただでさえ愛人とその娘……しかも元平民という身分で分が悪く、更に異母姉の宝物を奪ったという悪評。
社交界で華々しく活躍するには、まずはこれを払拭する必要があった。
そして、この噂の出どころを知っている――異母姉だ。
あの女は、聖女という仮面を被って、さも自身が被害者のように有ること無いこと悪い噂を広めているのだ。
ならば、それを逆手に取って、あの女を貶めてやる。
(ありがとうございます、お異母姉様。あたしに挽回のチャンスを与えてくださって……!)
コートニーの口元が、にやりと不気味に歪んだ。