ゴーストと呼ばれた地味な令嬢は逆行して悪女となって派手に返り咲く〜クロエは振り子を二度揺らす〜
「ねぇ、コートニー」クロエはぎゅっと異母妹の手を握りしめた。「本当にごめんなさい……。愚かな異母姉を、許してくれる……?」
「っ……!」
コートニーは目を見張って、一瞬だけ言葉に詰まった。腹が立って仕方がなかった。
せっかく周囲の空気を自分優位な流れに持って行ったのに、狡猾な異母姉はもう巻き返してしまった。
まさか、この女も自分と同じく泣き落とし作戦に出るとは。
しかも、今の状況では異母姉の謝罪を許さなければいけない雰囲気だ。下手に突っぱねたら、また「愚かな平民」という要らない称号を手にすることになる。
「そっ……」コートニーは唸るようにやっと声を出した。「そんな……謝るのはあたしのほうですっ! 本当にごめんなさいっ!」
(ええいっ、もうやけよっ! あとの作戦はお母様に考えてもらおっと)
仕方なく、異母妹は今回は異母姉に屈することにしたのだった。
「まぁっ、許してくれるのね? ありがとう」と、クロエの顔がぱっと輝く。
「えぇ! もちろん!」とコートニー。