ゴーストと呼ばれた地味な令嬢は逆行して悪女となって派手に返り咲く〜クロエは振り子を二度揺らす〜
ロバートが本当に愛しているのは「魔法」だけだ。
長女のクロエが彼から愛されているのも「魔法」があるからこそなのだ。
だったら、その「魔法」をなんとかすればいい。
そこでクリスは、コートニーへの魔法の特訓を強化することにした。なんとしても、あの憎き継子よりも強くならなければ……と、彼女の熱意は尋常でないものがあった。
ロバートも次女の魔法の訓練は大いに賛成してくれたので、魔法専用の家庭教師を五人も付けて、毎日毎日、マナーや教養よりも魔法の猛特訓をさせた。
しかし、クロエがかけた魔法のせいで、コートニーは未だに魔法の流れさえ感じ取ることができない。
元より勉強や努力が大嫌いなコートニーは、いくらやっても全く成果の出ない現状にほとほと嫌気が差して、そのうち怠けるようになり、激昂する母親との口論が絶えなかった。
そんな二人のヒステリックな醜い姿に、ロバートの愛情もすっと引いていくのだった。