ゴーストと呼ばれた地味な令嬢は逆行して悪女となって派手に返り咲く〜クロエは振り子を二度揺らす〜

52 不思議な再会でした!

 クロエは、かつてないほどに緊張していた。
 まるで真冬の池に落とされたかのように身体中がカチコチになって、指先の震えが止まらなかった。

 今、彼女は王立図書館の入口に立っている。

 彼女は、先日のお茶会でユリウスに似た人物の姿を見た。
 彼がもう王都へ来ているのではないかと、今日は図書館に確かめに来たのだ。

 ただ懐かしい友人に会うだけなのに、なぜ、こんなにも気が動転しているのだろう。
 クロエの心臓はずっと強く打っていて、もう半刻くらいは入口の前で逡巡していた。

 彼になんて声をかければ良いだろうか。いや、今日は遠くから見るだけにしておこうか。でも、彼と話したい。だけど、突然話しかけたら変な令嬢だと思われるだろうか……。
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