ゴーストと呼ばれた地味な令嬢は逆行して悪女となって派手に返り咲く〜クロエは振り子を二度揺らす〜
53 一緒にスコーンを食べました!
そこも、前と変わっていなかった。
図書館の裏側を進んで、少し階段や坂道を登ったところにある丘の上。風が心地よくて眺めのいい場所だった。
古めかしい鐘塔は、今もそこだけ時間が止まったかのように、高い場所から黙って街を見守っている。
(私は、ここで……)
ところどころ朽ちている鐘塔を見上げる。
あの日――スコットの放った悪夢のような一言に頭が真っ白になって、なにも考えず衝動的に無我夢中で駆け出した。
ただ、屋敷から離れたかった。雨風も気にせずにひたすら走った。
そして辿り着いた場所がここだったのだ。
それからのことは、ほとんど覚えていない。
ただ、悲しくて、悲しくて。辛くて、惨めで……もう、全てを終わらせたかったのだ。
(そう言えば、あのとき……)
図書館の裏側を進んで、少し階段や坂道を登ったところにある丘の上。風が心地よくて眺めのいい場所だった。
古めかしい鐘塔は、今もそこだけ時間が止まったかのように、高い場所から黙って街を見守っている。
(私は、ここで……)
ところどころ朽ちている鐘塔を見上げる。
あの日――スコットの放った悪夢のような一言に頭が真っ白になって、なにも考えず衝動的に無我夢中で駆け出した。
ただ、屋敷から離れたかった。雨風も気にせずにひたすら走った。
そして辿り着いた場所がここだったのだ。
それからのことは、ほとんど覚えていない。
ただ、悲しくて、悲しくて。辛くて、惨めで……もう、全てを終わらせたかったのだ。
(そう言えば、あのとき……)