ゴーストと呼ばれた地味な令嬢は逆行して悪女となって派手に返り咲く〜クロエは振り子を二度揺らす〜


 クロエは、コートニーにかけていた魔法を解除した。

 停止していた異母妹の体内の魔力は忽ち流れ出して、もとより天才だった彼女は立ち所に魔法が使えるようになった。それも、逆行前と変わらず、非常に強力な。

 クロエには、とある目的があった。

 時間を遡る前、魔法が使えなかったせいで凄惨な目に合った彼女は、「コートニーへの報復は魔法で」と、決めていたのだ。
 異母妹の一番得意な分野で完膚なきまでに叩きのめす。彼女が最高潮に有頂天になっている瞬間に、名誉も権力も矜持でさえも、粉々に打ち砕くのだ。

 そのためには、コートニーにかけた魔法を一旦解除する必要があった。


「ところで、コートニーは来月の魔法大会は出場するの?」と、クロエは何食わぬ顔で尋ねる。

 来月に国王主催の魔法大会が開催されるのだ。逆行前に、コートニーが圧倒的な実力で優勝した曰く付きの大会だ。
 この優勝によって、異母妹の国内での立場は確実なものとなり、反対にクロエは不名誉な烙印を押されることとなったのだ。

 それからは……地獄だった。
< 326 / 447 >

この作品をシェア

pagetop