ゴーストと呼ばれた地味な令嬢は逆行して悪女となって派手に返り咲く〜クロエは振り子を二度揺らす〜
62 魔法大会です!③
「きゃあっ! 勝っちゃいましたぁっ!!」
コートニーの甲高い声が聞こえた。
クロエが僅かな時間で勝利を飾ったとき、隣の試合場のコートニーも、ほんの少しの時間だけで相手を打ち負かしたようだった。
異母妹の対戦相手も魔導騎士。逆行しても彼女の魔力の高さは健在らしい。
「クロエ、コートニー、良くやった!」
またぞろ忌々しい父親の声が聞こえた。妹はきゃあきゃあと手を降って、姉は一瞬だけ顔をしかめてから、返事もせずにすたすたと選手控室へと戻る。
「あぁっ、待ってくださいよぅ~、お異母姉様ぁ~っ!」
コートニーはとてとてと子兎みたいに可愛らしくクロエを追いかけて、隣に並んで歩き始めた。
「ねぇねぇ、お異母姉様ぁ!」彼女はわざとらしく首を傾げる。「お異母姉様は対戦相手の自滅でたまたま勝てたんですってぇ~?」
「そうね」
クロエは異母妹のことなど一顧だにせず、真正面を見つめながら答える。
「うわぁ~! 聖女様って運もいいんですね! 良かったですね!」と、笑顔のコートニー。彼女は魔法に目覚めたばかりの自身の力が、魔導騎士団員をも凌駕する実力だったので、とても図に乗っていた。
「そうね」とクロエ。
「でも、そんな偶然はいつまでも続きませんよぉ~。せめて幸運が決勝まで続いて、あたしと対戦できるといいですね!」
「そうね」とクロエ。
「むぅーっ!」
クロエは口を尖らせる異母妹など無視をして、さっさと選手控室へと戻る。
コートニーは異母姉の背中に向かって「べーっ」と舌を出してから、両親とスコットのもとへと一人で向かったのだった。
コートニーの甲高い声が聞こえた。
クロエが僅かな時間で勝利を飾ったとき、隣の試合場のコートニーも、ほんの少しの時間だけで相手を打ち負かしたようだった。
異母妹の対戦相手も魔導騎士。逆行しても彼女の魔力の高さは健在らしい。
「クロエ、コートニー、良くやった!」
またぞろ忌々しい父親の声が聞こえた。妹はきゃあきゃあと手を降って、姉は一瞬だけ顔をしかめてから、返事もせずにすたすたと選手控室へと戻る。
「あぁっ、待ってくださいよぅ~、お異母姉様ぁ~っ!」
コートニーはとてとてと子兎みたいに可愛らしくクロエを追いかけて、隣に並んで歩き始めた。
「ねぇねぇ、お異母姉様ぁ!」彼女はわざとらしく首を傾げる。「お異母姉様は対戦相手の自滅でたまたま勝てたんですってぇ~?」
「そうね」
クロエは異母妹のことなど一顧だにせず、真正面を見つめながら答える。
「うわぁ~! 聖女様って運もいいんですね! 良かったですね!」と、笑顔のコートニー。彼女は魔法に目覚めたばかりの自身の力が、魔導騎士団員をも凌駕する実力だったので、とても図に乗っていた。
「そうね」とクロエ。
「でも、そんな偶然はいつまでも続きませんよぉ~。せめて幸運が決勝まで続いて、あたしと対戦できるといいですね!」
「そうね」とクロエ。
「むぅーっ!」
クロエは口を尖らせる異母妹など無視をして、さっさと選手控室へと戻る。
コートニーは異母姉の背中に向かって「べーっ」と舌を出してから、両親とスコットのもとへと一人で向かったのだった。