ゴーストと呼ばれた地味な令嬢は逆行して悪女となって派手に返り咲く〜クロエは振り子を二度揺らす〜
64 魔法大会です!⑤
「よろしくお願いしますぅ~、お異母姉様!」
「よろしくね、コートニー」
形式だけの握手を交わす。異母妹は力強く握って、下から異母姉を睨め付けた。
そして、
「今日であんたの天下もおしまいよ」
誰にも聞こえないくらいの音量で、異母姉の耳元で囁く。
「まぁ、怖い」クロエは涼しい顔をして言う。「でも、勝つためには、それくらいの心がけは大事よ。お互いに頑張りましょうね」
「……チッ」
コートニーは舌打ちをして、握った手を乱暴に離した。
二人の姉妹は背を向け合って、試合開始時の所定の場所へと移動する。
「クロエ、コートニー、頑張れ!」
忌々しい父親の声援が聞こえた。
彼は娘二人が決勝戦に進んでご満悦のようだ。どちらが勝ってもパリステラ家の栄誉は輝く。全ての価値観が魔法にある彼にとっては、まさに最高の展開だった。
コートニーは、振り返って父に笑顔で応える。
クロエは父に目を向けながら、隣の継母をさり気なく観察した。
彼女は余裕の笑みを浮かべながら、二人を見下ろしている。もう実子が勝利したも同然かのような態度に、クロエは違和感を覚えた。
(やはり、なにかを企んでいるようね。気を引き締めて臨まなきゃ)
あのずる賢い継母のことだろう、レイン伯爵令息が失敗した場合には、別の手を打っているはず。
しかも彼女のことだから、おそらく卑怯な寸法だろう。十二分に警戒をしなければ。
「よろしくね、コートニー」
形式だけの握手を交わす。異母妹は力強く握って、下から異母姉を睨め付けた。
そして、
「今日であんたの天下もおしまいよ」
誰にも聞こえないくらいの音量で、異母姉の耳元で囁く。
「まぁ、怖い」クロエは涼しい顔をして言う。「でも、勝つためには、それくらいの心がけは大事よ。お互いに頑張りましょうね」
「……チッ」
コートニーは舌打ちをして、握った手を乱暴に離した。
二人の姉妹は背を向け合って、試合開始時の所定の場所へと移動する。
「クロエ、コートニー、頑張れ!」
忌々しい父親の声援が聞こえた。
彼は娘二人が決勝戦に進んでご満悦のようだ。どちらが勝ってもパリステラ家の栄誉は輝く。全ての価値観が魔法にある彼にとっては、まさに最高の展開だった。
コートニーは、振り返って父に笑顔で応える。
クロエは父に目を向けながら、隣の継母をさり気なく観察した。
彼女は余裕の笑みを浮かべながら、二人を見下ろしている。もう実子が勝利したも同然かのような態度に、クロエは違和感を覚えた。
(やはり、なにかを企んでいるようね。気を引き締めて臨まなきゃ)
あのずる賢い継母のことだろう、レイン伯爵令息が失敗した場合には、別の手を打っているはず。
しかも彼女のことだから、おそらく卑怯な寸法だろう。十二分に警戒をしなければ。