ゴーストと呼ばれた地味な令嬢は逆行して悪女となって派手に返り咲く〜クロエは振り子を二度揺らす〜
(つまり……考えなしの力技ってことなのよね)
用心深く観察していると、異母妹の戦い方は単調だった。お決まりの攻撃に、お決まりのパターン。まるで戦い方というものが分かっていない。
これまでは彼女の巨大な魔力で誤魔化せただろうが、自身より力の強い魔道士や策をめぐらすタイプの敵と対峙したときは、どうするつもりなのだろうか。
(よし、こちらからも行くわよ……!)
クロエは、はたと立ち止まる。
そして正面を見据えて、コートニーに反撃しようとした折も折、
――ぐらり、と視界がぶれた。
「えっ……!?」
すぐさま体勢を立て直そうとするが、急激に息苦しさと目眩が襲ってきて、がくりと膝を付く。
(かっ……身体が…………)
全身が痺れるような感覚。
動きたくても、まるで強い力に抑えつけられているかのように、その場にうずくまった。
酷い寒気と肉体の硬直。目がチカチカする。気持ち悪さが胸の奥から押し寄せて、魔法を使う余裕どころか、指先ひとつ満足に操作できない。
そのときだった。
――ドォン、と一際大きな爆音が会場内に轟く。
コートニーの攻撃が、クロエに直撃したのだ。