ゴーストと呼ばれた地味な令嬢は逆行して悪女となって派手に返り咲く〜クロエは振り子を二度揺らす〜
67 裏切り者の二人です!
濁ったような暗い雲が太陽を隠して、爽やかだった風が刺すように吹き、身体を冷やした。熱い試合にあんなに活気付いていた会場も、今は禍々しい雰囲気に包まれていた。
「っ……!」
拘束されたスコット・ジェンナー公爵令息が、荒々しく試合場に放り出される。彼の隣には、同じく縄で緊縛されたコートニー・パリステラ侯爵令嬢。
二人の前にはクロエ・パリステラ侯爵令嬢がさめざめと涙を流しながら、しかしハンカチの奥から冷たい眼差しで見下ろしていた。
「まさか、国王陛下への背信行為だなんて……」
「建国時からの名門であるジェンナー家とパリステラ家が、そんなこと……」
「陛下はどうなさるつもりだろうか」
「これは……最悪は処刑かもしれないな……」
「なにせ国王陛下の御前試合ですものね」
ひそひそとした囁き声が重なって、さざ波のように彼らのもとへ運ばれて来た。
スコットは羞恥心で思わず顔を伏せ、唇を噛んだ。コートニーはふるふると身体を小刻みに震わせながら、異母姉のことを憎々しく睨め付けている。
「っ……!」
拘束されたスコット・ジェンナー公爵令息が、荒々しく試合場に放り出される。彼の隣には、同じく縄で緊縛されたコートニー・パリステラ侯爵令嬢。
二人の前にはクロエ・パリステラ侯爵令嬢がさめざめと涙を流しながら、しかしハンカチの奥から冷たい眼差しで見下ろしていた。
「まさか、国王陛下への背信行為だなんて……」
「建国時からの名門であるジェンナー家とパリステラ家が、そんなこと……」
「陛下はどうなさるつもりだろうか」
「これは……最悪は処刑かもしれないな……」
「なにせ国王陛下の御前試合ですものね」
ひそひそとした囁き声が重なって、さざ波のように彼らのもとへ運ばれて来た。
スコットは羞恥心で思わず顔を伏せ、唇を噛んだ。コートニーはふるふると身体を小刻みに震わせながら、異母姉のことを憎々しく睨め付けている。