ゴーストと呼ばれた地味な令嬢は逆行して悪女となって派手に返り咲く〜クロエは振り子を二度揺らす〜
クリスとコートニーは、正式に処刑が決定した。
パリステラ家の次女の二度に渡る不祥事に国王は激怒し、そして闇魔法への見せしめとして、王都の広場での公開処刑が決まったのだ。
ロバートはすぐさま妻と離婚をして、母娘をパリステラ家から放り出したかったが、それは王が許さなかった。二人は侯爵家の夫人と令嬢として、斬首刑を受けることになるのだ。
このことは、聖女として名高いクロエにも、少なからず影響を受けた。
これまで彼女のことを女神だと崇めていた貴族の子女たちは、潮が引くように去って行って、パーティーの招待状もみるみる減っていった。
もう、彼女の隣にいるのは、助手であるジョン・スミス男爵令息だけだった。
彼女は、そんな些末なことなんて問題ないかのように、ただ粛々と聖女としての務めを果たしていった。
噂を丸呑みにした平民の子供から罵倒されることもあったが、そんな無礼な相手にもただ微笑んで治癒を施す姿に、ユリウスは酷く胸が痛んだ。