ゴーストと呼ばれた地味な令嬢は逆行して悪女となって派手に返り咲く〜クロエは振り子を二度揺らす〜
そこでクロエは、母の実家について調べることにした。
だが、既に生家は断絶。母の両親も嫡男である弟も、事故で死亡。屋敷も潰されて、なにも残っていなかった。
それは帝国の皇子が調査しても、少しの手掛かりも見つからなかったのだった。
しかし、一つだけ残ったものがあることにクロエは気付いた。
それは、母から娘に託されたペンデュラムのペンダントだ。
母は「代々伝わる宝石」だと言っていた。そして、母の家門の人々の魔力が詰まっている、とも。
早速ユリウスに調べてもらったら、太古の魔石に時の魔導士たちの魔力が蓄積されているものだと分かった。
彼も、母から託された同じような指輪を持っているらしい。しかし、それはクロエの持つペンデュラムほどの大きな魔力は内包されていないようだった。
やはり母は、このペンデュラムを利用して、時を逆行したのだと確信した。
その条件を見つけようと、クロエは必死になって研究を続けた。
全てを終わらせて……母に今度こそ幸せになってもらうために。