ゴーストと呼ばれた地味な令嬢は逆行して悪女となって派手に返り咲く〜クロエは振り子を二度揺らす〜


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 コートニーに天才的な魔力があると分かった日から、母娘の態度はますます増長して……それに当主であるロバートの擁護も加わって……どうしようもないところまで来ていた。

 二人はやりたい放題だ。
 少しでも気に食わないことがあれば周囲に八つ当たり、従者への暴力も日常茶飯事だった。

 侯爵も「天才である娘とその母を煩わせる存在」と主張して被害者を一切顧みずに、ゴミみたいに屋敷から放り出した。
 そして、いつの間にか母娘が元々の屋敷から連れてきた侍従たちが権力を握って、古くから仕えていた者たちに冷酷に指示を出していたのだった。


 それに比例して、クロエに対する当たりも強くなっていった。

 彼女が魔法を使えない事実、そして妹は天才的な才能。更に当主もその妹を溺愛していて、反対にクロエには冷遇されている。どちらに付くかは明白だった。

 昔からパリステラ家に仕えている者たちも、新しい侯爵夫人と天才の侯爵令嬢からの暴力に恐怖して、次第に彼女たちへ阿って、クロエのことをぞんざいに扱い始めた。それをクリスとコートニーは面白がり、クロエにもっと意地悪をするようにと煽り立てる。

 ロバートも咎めずに、クロエの立場はどんどん悪くなった。

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