ゴーストと呼ばれた地味な令嬢は逆行して悪女となって派手に返り咲く〜クロエは振り子を二度揺らす〜
コートニーの魔法の才能は目を見張るほどに、ぐんぐんと伸びて行った。
天才だという彼女の噂はあっという間に社交界に広まって、母娘はお茶会やら夜会やらで毎日忙しくなった。
彼女たちは毎回新しいドレスに着飾って、母娘二人……あるいは親子三人で楽しそうに出掛けて行っていた。
数ヶ月前までは貴族の愛人とその娘として陰の世界を生きていた彼女たちは、まるでお伽噺のような煌めく世界にのめり込んでいった。
もっと素敵なドレスを、もっと高級な宝石を。あの侯爵家には負けたくない。身位が上の公爵家であっても。
天才魔導士のいるパリステラ家が一番でなければ……。
ロバートは自慢の娘のために、労を惜しまず願いはなんでも叶えてやって、社交の度に高価なドレスやアクセサリーを買ってあげていた。