ゴーストと呼ばれた地味な令嬢は逆行して悪女となって派手に返り咲く〜クロエは振り子を二度揺らす〜
そのうち、コートニーは魔法以外の嫌なことは、なにもしなくて良くなった。
彼女は辛い淑女のレッスンや教養のための勉強も放棄して、毎日のように社交に明け暮れていた。
多少のマナー違反も、彼女の魔法の実力とパリステラ侯爵家の威光で大目に見られていた。もっとも、陰では「マナーも知らない平民上がりの妾の娘」と、嘲笑われていたが。
招待状にはクロエの名前もあったが、父親が「魔法も使えん娘なぞパリステラ家の恥だ」と、参加の許可を出さなかった。
クリスとコートニーは人脈を広げて、逆にクロエは友人とは疎遠になって、新たな知人さえできる機会もなくなってしまった。
異母妹が「今日は仲の良い令嬢たちとお買い物に出かけるのよ」と、にこにこと喜色満面に馬車に乗り込む。
クロエは庭で一人寂しく魔法の特訓をしながら、その様子をちらりと横目で見ていた。