ゴーストと呼ばれた地味な令嬢は逆行して悪女となって派手に返り咲く〜クロエは振り子を二度揺らす〜
「スコット様、ご機嫌よう」
ソファーに腰掛けてしばらくすると、応接間に現れたのは婚約者ではなく――その異母妹だった。
スコットは予想外の意外な人物に目を見張る。
彼が呆然としている間に、コートニーは微笑みながらカーテシーをした。
その動きは完璧な姉に比べるとまだぎこちないものの、彼女の本来持っている愛らしい容姿が可憐さを醸し出して、見ていてなんだか微笑ましい気分になった。
「やぁ、コートニー嬢。久し振りだね。元気かい?」
「はい! あたしは元気です。スコット様にお会いできて嬉しいですぅ~!」
コートニーは、さっとスコットの隣に座る。
彼は未婚の令嬢の大胆な行為に一瞬だけ目を丸くしたが、彼女の左手首からちらりと見えた包帯に思わず気を取られてしまう。その隙に、彼女が腕をぎゅっと絡めてきた。
「っ……コートニー嬢?」と、スコットは咎めるように彼女の名前を呼ぶ。
「あっ、ごめんなさい! あたし……お義兄様ができるのが嬉しくって」彼女の丸い瞳がうるうると涙で滲んだ。「だって、ずっとお母様と二人きりだったから……。こんなにたくさんの家族ができるのが、本当に嬉しいの」