ゴーストと呼ばれた地味な令嬢は逆行して悪女となって派手に返り咲く〜クロエは振り子を二度揺らす〜
「あの……」
「えっ――」思考を巡らせている彼はコートニーの声ではっと我に返って「ごめん、ごめん。考え事をしていたよ」
「それって、お異母姉様のことですか?」
「あ、まぁ……そうだね」
彼が苦笑いで答えると、彼女はしゅんと目を伏せた。
「ごめんなさい……。この子……本当はあたしなんかより、お異母姉様に着けて欲しかったですよね」と、彼女は胸元のネックレスを愛玩動物のようにぽんぽんと優しく撫でる。
「それは――」と、言いかけたところでスコットはおもむろに首を横に振った。「いや……僕はネックレスを大切にしてくれる人が着けてくれるほうが嬉しいかな」
(その通りだ……本当に……)
彼は呪文のように、自身に言い聞かせた。
プレゼントを気に入らないからと易々と妹に譲る姉より、大事に毎日身に着けてくれる妹のほうが良いに決まっている。
そう考えると、だんだんと腹が立ってきた。
クロエの奴、プレゼントしたときはあんなに喜んでいたのに、いとも簡単に妹に譲渡して、しかもそれを黙っているだなんて。なんと薄情な。