ゴーストと呼ばれた地味な令嬢は逆行して悪女となって派手に返り咲く〜クロエは振り子を二度揺らす〜
19 二人は抱き合っていました
「そ、そうですね……」
少しの沈黙のあと、コートニーが小さな口を開く。ついさっきまで義兄の瞳を捉えていた視線は、今では斜め下を泳いで、にわかに落ち着かない様子になった。
スコットは息を呑む。鼓動が強く打った。
まさか、自分の最悪の予測は的中してしまうのだろうか。やはり、クロエは――、
「お異母姉様は……その……良く、してくださいますわ……?」と、彼女は少しだけ首を傾けながらにこりと微笑んだ。
しかし、彼は一瞬の姿を見逃さない。
義妹は小さく肩を振るわせて、左手首に巻いた包帯をぎゅっと掴んでいた。なにかに酷く怯えるような仕草で。まるで抗えない大きな力に、ひたすら耐えるように。
それは、胸を掻きむしられるような、とても痛々しい姿だった。
少しの沈黙のあと、コートニーが小さな口を開く。ついさっきまで義兄の瞳を捉えていた視線は、今では斜め下を泳いで、にわかに落ち着かない様子になった。
スコットは息を呑む。鼓動が強く打った。
まさか、自分の最悪の予測は的中してしまうのだろうか。やはり、クロエは――、
「お異母姉様は……その……良く、してくださいますわ……?」と、彼女は少しだけ首を傾けながらにこりと微笑んだ。
しかし、彼は一瞬の姿を見逃さない。
義妹は小さく肩を振るわせて、左手首に巻いた包帯をぎゅっと掴んでいた。なにかに酷く怯えるような仕草で。まるで抗えない大きな力に、ひたすら耐えるように。
それは、胸を掻きむしられるような、とても痛々しい姿だった。