ゴーストと呼ばれた地味な令嬢は逆行して悪女となって派手に返り咲く〜クロエは振り子を二度揺らす〜
少しして、スコットが口火を切る。
「君のような女性とは、もう一緒にいられない」
それは、決別の言葉だった。
スコットはコートニーの顔に手を触れる。彼の瞳は打って変わって優しさで溢れていた。
「コートニー嬢、大丈夫? さ、僕と一緒に手当をしに行こう?」
紳士的にエスコートをしながら扉へと向かう。これまで彼がクロエに対しておこなっていたように、慈しんで。
茫然自失とへたり込んでいるクロエとすれ違いざまに彼は横目で見やって、
「悪かったな。君のお気に召さないプレゼントばかり贈って」
怒気が孕んだ声音で、皮肉を一言置いていった。
嫌な視線を感じで顔を上げると、コートニーが悪意の塊のようないびつな笑みを浮かべて、クロエを見ていた。