ゴーストと呼ばれた地味な令嬢は逆行して悪女となって派手に返り咲く〜クロエは振り子を二度揺らす〜

21 生活は変わりました ※虐待による不快なシーンあり※

 コートニーが国王主催の魔法大会で優勝した。

 それは他を凌駕する圧倒的な強さだった。彼女の実力は、王立魔導騎士団長が認めるほどで、国内でも屈指の魔力の持ち主として名前を轟かせていった。

 これには父親のロバートも鼻高々で、他の貴族たちに大いに自慢をして回っていた。
 魔力至上主義の彼は、魔法の使えないクロエに対して非常に憤りを感じていた。
 名門パリステラ家の当主としてずっと肩身の狭い思いをしていたが、ここにきてコートニーの大快挙である。彼は今までの鬱屈していた黒い気持ちを発散するように、娘の能力を大いに誇っていた。

 まるでクロエなんか初めから存在しなかったかのように、彼の愛する娘はコートニーただ一人だった。


 そして、魔法大会の祝賀パーティーでは、コートニーとスコットの婚約……及びクロエとスコットの婚約破棄が発表された。

 理由はクロエの素行不良である。
 ロバートは「あの恥知らずはもう社交の場には出さない」と、貴族たちに触れ回っていた。

 そして、まことしやかに囁かれる前侯爵夫人の裏切りの噂。
 クロエも亡き母も、名誉なんて少しも残されていなかった。


< 89 / 447 >

この作品をシェア

pagetop