今、君に恋している
8月11日:ホームパーティー
「奈々、起きて買い物行くの手伝って」
1階の階段の下から奈々を呼ぶママの声で目が覚めた。
まだ眠くて、うまく目が開けられない。
頑張って片目だけ目を開けて、スマホの画面を見ると、まだ9時前だった。
なんでこの時間にママがいるんだろう?
一瞬、そんな疑問が頭に浮かんだが、そうか、今日からお盆の3連休か、と気づく。
いつものようにジャージ姿のまま、リビングに行くと、ママはすでに洗濯や掃除といった一通りの家事を済ませたようだった。
気のせいか、いつもより部屋が片付いているような気がする。
エプロンを脱ぎながら、奈々に背を向けたまま言った。
「奈々、これから買い物に行くから、一緒に来てくれる?」
「うん、いいよ」
ママは奈々の方を向くと、「じゃあ、はやく着替えてらっしゃい」と声をかけた。
「ママ、買いすぎじゃない?」
ショッピングカートの上段と下段のカゴはお肉やお野菜ですでにいっぱいになっている。
「そうでもないわよ。今日、ホームパーティーにお客様来るんだから。ジュースとお菓子も買うわよ」
「えっ?ホームパーティーって何?」
「もぉ~、言ったじゃない。今日、昔近所に住んでいた坂井さんのご家族が来るって」
…。
確かに、そんなことを言っていた気がする。
うん…?さ、かい…?
「坂井さん家、確か小学校3年生の頃に、お父さんのお仕事の都合で、アメリカに行ったじゃない?小さい頃は、奈々とヒロくん、よく一緒に遊んでいたわよね。懐かしいわ…」
ママの言葉を聞きながら、どんどん思い出してきた。
確かに、そういう男の子が近所に住んでいた。
ヒ、ロくん…。
「ママも久しぶりにヒロくんママに会えるの嬉しいわ。奈々とヒロくんがよく遊んでいたから、ママたちもよく話したわ。ふふ、よく子育ての悩み相談したっけ…」
ママの言葉がどんどん遠のいていく。
ヒロくん…???
昨日の図書館の男の子が、自分のこと坂井ヒロって言っていたような…。
いや、言っていた。ヒロって言っていた!!!
「え―!うそー!」
「ちょっと、奈々、声大きい」
まわりの人が奈々を見つめる視線を感じ、ママが咎めるような口ぶりで注意した。
自分の顔がどんどん熱くなっているのを感じる。
大きな声を出して、まわりから見つめられているからではない。
昨日、抱きしめられたことを思い出したからだ。
昨日は、あまりに驚きすぎて、すぐにその場を逃げるように帰ったのだった。
でも、不思議と怖いという感情は起きなかった。
昨日の男の子がヒロくんだったんだ…。
しかも、すごい綺麗な顔をした男の子になっていた…。
え、私、ヒロくんに抱きしめられちゃった…。
どんどん、いろいろな思いが頭に浮かぶたび、コロコロと表情が変わったのだろう。
「ぷっ。ちょっと奈々。どうしたのよ~?大丈夫よ。もうみんな見ていないわよ。」
ママは、奈々が大きい声をだして回りからみられているのが恥ずかしいと思ったようだ。
1階の階段の下から奈々を呼ぶママの声で目が覚めた。
まだ眠くて、うまく目が開けられない。
頑張って片目だけ目を開けて、スマホの画面を見ると、まだ9時前だった。
なんでこの時間にママがいるんだろう?
一瞬、そんな疑問が頭に浮かんだが、そうか、今日からお盆の3連休か、と気づく。
いつものようにジャージ姿のまま、リビングに行くと、ママはすでに洗濯や掃除といった一通りの家事を済ませたようだった。
気のせいか、いつもより部屋が片付いているような気がする。
エプロンを脱ぎながら、奈々に背を向けたまま言った。
「奈々、これから買い物に行くから、一緒に来てくれる?」
「うん、いいよ」
ママは奈々の方を向くと、「じゃあ、はやく着替えてらっしゃい」と声をかけた。
「ママ、買いすぎじゃない?」
ショッピングカートの上段と下段のカゴはお肉やお野菜ですでにいっぱいになっている。
「そうでもないわよ。今日、ホームパーティーにお客様来るんだから。ジュースとお菓子も買うわよ」
「えっ?ホームパーティーって何?」
「もぉ~、言ったじゃない。今日、昔近所に住んでいた坂井さんのご家族が来るって」
…。
確かに、そんなことを言っていた気がする。
うん…?さ、かい…?
「坂井さん家、確か小学校3年生の頃に、お父さんのお仕事の都合で、アメリカに行ったじゃない?小さい頃は、奈々とヒロくん、よく一緒に遊んでいたわよね。懐かしいわ…」
ママの言葉を聞きながら、どんどん思い出してきた。
確かに、そういう男の子が近所に住んでいた。
ヒ、ロくん…。
「ママも久しぶりにヒロくんママに会えるの嬉しいわ。奈々とヒロくんがよく遊んでいたから、ママたちもよく話したわ。ふふ、よく子育ての悩み相談したっけ…」
ママの言葉がどんどん遠のいていく。
ヒロくん…???
昨日の図書館の男の子が、自分のこと坂井ヒロって言っていたような…。
いや、言っていた。ヒロって言っていた!!!
「え―!うそー!」
「ちょっと、奈々、声大きい」
まわりの人が奈々を見つめる視線を感じ、ママが咎めるような口ぶりで注意した。
自分の顔がどんどん熱くなっているのを感じる。
大きな声を出して、まわりから見つめられているからではない。
昨日、抱きしめられたことを思い出したからだ。
昨日は、あまりに驚きすぎて、すぐにその場を逃げるように帰ったのだった。
でも、不思議と怖いという感情は起きなかった。
昨日の男の子がヒロくんだったんだ…。
しかも、すごい綺麗な顔をした男の子になっていた…。
え、私、ヒロくんに抱きしめられちゃった…。
どんどん、いろいろな思いが頭に浮かぶたび、コロコロと表情が変わったのだろう。
「ぷっ。ちょっと奈々。どうしたのよ~?大丈夫よ。もうみんな見ていないわよ。」
ママは、奈々が大きい声をだして回りからみられているのが恥ずかしいと思ったようだ。