小児科医は癒やしの司書に愛を囁く

「そうだ!いいこと思いついた。ちょっと駅前の書店に寄ってから帰ります」

「おいおい。危ないから俺と休みの日に行こう」

「間に合わなくなるといやなんです」

「え?」

 私はそう言うと、急いで病院を後にした。バスを使って駅前へ出ると、駅の中にある書店へ駆け込んだ。まっしぐらに児童書や絵本のコーナーに行く。

「……あるといいんだけどな」

 隆君がいつも読んでいたシリーズ本の最新作が発売になっている。図書館にはまだ入ってこない。捜してみるとやはりあった。人気シリーズだ。あの年頃の子供に人気なのだ。

 それと、私の好きな絵本を捜した。あった、これだ。七転び八起きの動物絵本。いろんな動物が何回転んでも必ず最後は起き上がりにこっと笑うのだ。

 私も色々なことがあったけど、この絵を見るとどんなことも怖くなくなる。私に元気をくれる魔法の絵本。小さい頃からのお気に入りなのだ。隆君にも気に入ってもらえたら嬉しい。

 二冊の本を会計に持って行き、包装紙とリボン、カードだけもらって帰ってきた。

 家でカードに手書きでメッセージを入れて、自分で包装するのだ。ついでに昼間折っていた折り紙も入れてあげた。

 彼の好きな怪獣の折り紙。折り紙を二枚使って作る大作だ。
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