小児科医は癒やしの司書に愛を囁く

「はい。そういうことに一応なりまして、ちゃんとお付き合い始めました」

 文恵さんはフォークとナイフを置くと拍手。

「良かったね。安心したよ。で?色々ちゃんと最後までしたのかな?」

「もうっ!文恵さん、こんなところでやめてください……」

「あははー。赤くなって可愛いったらないねえ。そうか、良かった」

 その通り。先週日曜日の夜からアパートにいったん帰り、月曜日にはホテルにいた。

 しかし結局電話が来て、火曜日マンションへに戻り、その晩すぐに彼に抱かれた。

 あれから、彼は夜勤以外、遅く帰ってきても私を起こして求めるようになった。

 それも段々激しくなってきていて、今日も私はちょっと身体が重くて眠い。

 お互いの気持ちを確認したので、遮るものがなくなった。ただ……お互い隠していることはあると思う。

 彼は実家の話はしないし、私にも聞いてこない。

 もちろん、最初に両親が離婚していて実家がないという話はした。

 私の実家の話を聞くならば彼も自分の話をしなくてはならなくなる。それがいやなのかもしれないとなんとなくだが感じている。

 私にとってはもっと大きな問題がある。彼のお父様が弟の主治医だったことだ。おそらく間違いない。
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