小児科医は癒やしの司書に愛を囁く

「美鈴ちゃん。病院の貸し出し担当にもう一度なりたい?」

「先生とおつきあいしているので、かえって恥ずかしいからいいです」

「確かにそうだね。ちゃかされたら恥ずかしいか。実はこの間、美鈴ちゃんのこと檜山先生に聞かれたよ」

「え?なんて?」

「……幸せそうですかってさ。さすがに喧嘩していたとか言ったら、檜山先生がその気になったりするかもしれないからまずいと思って黙っておいたよ。原田先生と仲がいいのに、本人に聞かないんですかーって聞いたら苦笑いしているから、私でもわかったよ。美鈴ちゃんももてるねえ」

「やめて下さい、文恵さん」

「うらやましいよ。よりどりみどりとはこのことだよー。まあ、原田先生に落ち着いたのは正解だったかもしれないけれどね」

「文恵さん、とにかく色々ありがとうございました。これからも相談に乗って下さい」

「もちろんだよ」

「今日は奢らせて下さい」

「わお。遠慮しない方が美鈴ちゃんもすっきりするよね。ありがとう。今日はごちそうになります」

「はい、そうしてください」

 二人で笑いながら戻った。
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