小児科医は癒やしの司書に愛を囁く

「僕も小学校高学年くらいにこの本を初めて読んだ。とてもいいよね」

「ええ」

「図書館で見たときは懐かしかったよ。ベストセラーなんだな。今でもあるとは驚いた」

「絵本は一度売れると長いです。例えば、私がこの絵本を好きで育ち、親になると買い求めて子供に読む。そうやってずうっと続いていくんです」

「なるほどな。美鈴は母親になったらこの絵本を子供に読むって決めているのか?」

「もちろんですよ。先生にはそういう絵本はなかったんですか?」

「うーん。そうだな、絵本より身体を動かして遊ぶ方が好きだったな」

「そういえば、子供達に動物を知らないって笑われてましたね。図鑑とかもあまり読んでなかったの?」

「俺のこと馬鹿にしてるな、美鈴。これでも医者になれたんだ。人間の図鑑はほとんど読んだ。それこそ一生懸命。医学の本は嫌でも読んで勉強したんだぞ」

 どや顔を見せる先生に笑ってしまう。
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