小児科医は癒やしの司書に愛を囁く
「それって、小さい時じゃないし、自分から読みたくて読んでないじゃないですか。自主的に読みたいと思って初めて好きになるんです」
腕を組んでこちらをちろりと見た。
「確かに。自主的か……病院の裏口で美鈴を助けて俺の恋人だと口走ったときは自主的だった。自分でも驚いた。普段思慮深い俺があんなこと言うなんて……相当美鈴にやられてたんだな」
「なにそれ?」
「願望が抑えきれず、恋人って言えばいいんだと思いついた途端、口から突いて出たってところだ」
私を抱き寄せて、キスを落とした。
「……あ」
「そして遠回りしたが、願望通り本当の恋人になれた。自主的に好きになったのは美鈴が初めてだ」
「ええ!?絶対嘘でしょ」
「どうしてそう思う?」