小児科医は癒やしの司書に愛を囁く
二人が戻ってきた。目配せして黙る。
「じゃあ、鈴木さん。さっき説明した通り、日本文学の棚、全部頼むね」
「わかりました」
鈴木さんが輝く笑顔で先輩を見つめている。高村先輩もにっこりしている。すごすぎる。これからこの二人を見ながら仕事をしていく私はどうしたらいいのよ。文恵さんずるい。私も転職しようかしら。
文恵さんに背中を叩かれてついて行く。
「あのさ、小児科訪問だけどどうする?館長にも聞かれたんだけど、新人のあの子にはまだ無理だし、高村君はちょっと男性だから小児科はパス。ということで、また美鈴ちゃんに戻そうかと……どう?」
嬉しい!この間、断ったけどやりますと言えば良かったと後悔した。やっぱり、やりがいがあるし、子供達に会いたい。周りに何を言われても恥ずかしいことなんてないし、堂々とお付き合いしようと決めたのだ。
「やりたいです。この間、やらないと言ってしまい、実はあの後すごく後悔していました。私、ライフワークたいんです、あの仕事。できればあの病院だけじゃなくて、地域の他の病院にも行きたいと思っていて、そういう活動を主にしたいんです」