小児科医は癒やしの司書に愛を囁く
「それは、宝田先生経由で聞いたのもあるからだろうな。小児科医だったら誰でもが取り入れたいからな。そうか、美鈴が行くのか?」
「ええ。弘樹先生の住田病院へ行く日は不定期なんでしょ?」
「いや、一応水曜日と金曜日の予定にしてある。だが、行かれないこともあるからどちらかは必ず行くようにしているけれどね。明日は丁度午前中行っているけど、そうか、訪問は午後からだよな」
「そうなの。一応午後です。午前中は回診もあるし、外来もあるから、やはり午後がいいと思うの」
「まあ、そうだな。残念だが俺と入れ違いだ。大丈夫か?父さんと会うのがいやなんだろ?」
「嫌ではないです。緊張するけれど……」
弘樹先生は私を抱き寄せて言った。
「美鈴のことは真剣に付き合っていると伝えてある。それにきっと仕事をしている君を見たら、父は君のことを認めると思う」
そうは思えない。だって、お父様の離婚原因だった患者の家族が私だ。いつか先生にも伝えないといけないけれど、私は住田先生と再会して平常心でいられる自信がないのだ。