小児科医は癒やしの司書に愛を囁く

「はじめまして。原田弘樹先生の義理の弟に当たります、住田浩一です」

 私は驚いて立ち止まり、頭を下げた。どこか先生に似ている。

「司書の平田美鈴です。原田先生には公私共お世話になっています。弟さんは内科の先生だとお聞きしています」

「まだ兄と比べたらひよこですけど、追いつけるように頑張っています。今日は午前中兄さんが来てまして、平田さんのことをよーく頼んでいかれましたよ。父には平田さんをいじめたら許さないって朝から言ってましたから……」

「……ええ!?」

 恥ずかしい。先生ったらなにしてんのかしら、もう。子供達が集まってきた。看護婦さんに連れられてくる車椅子の子や小さい子もいる。

「あ、急いで運びましょう。みんな午前中に兄さんから図書館が移動してくると聞いて楽しみに待っていたんですよ」

 そうだったんだ。先生、宣伝してくれたの?ハードルが上がって私にはプレッシャーだ。
< 167 / 226 >

この作品をシェア

pagetop