小児科医は癒やしの司書に愛を囁く

「皆さん初めまして。図書館司書の平田美鈴と言います。今日は近くの市立図書館からたくさん本を持ってきました。何冊かみんなが読みたい本を読んでみようと思います。それから、ここに持ってきた本は私がいる間は自由に読んでくれて構いません。もちろんお母さんやお父さん、病気のご兄弟のみんなもいいですよ」

 そう言うと、わらわらと子供達やお母さんが大勢来て本を選んでいく。私は膝に上ってくる小さな子に絵本を読み聞かせ始めた。すると、周りに数人が集まってきて聞いている。

 そのまま、リクエストに応じて二冊読んだ時には周りに人だかりが出来ていた。

 折り紙をするコーナーを作り、遊ばせたりして時間になった。

 そろそろ終わりですよというと絵本を持ったまま泣き出す子供がいて、困っていたら初老の白衣を着た男性医師がこちらへ来た。

「みんな、平田さんにはまた来てもらいたいかな?」

「「「はーい!」」」

 大勢の子供達が手を上げている。嬉しかった。
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