小児科医は癒やしの司書に愛を囁く
「平田さん。ご挨拶が遅れました、院長の住田です」
立ち上がり先生を見た。間違いない。白髪になっているが、この優しそうな目と低い声。それは当時と変わらない。ひー君の先生だ。そしてたまに私の頭を撫でてくれたあの優しい先生が目の前にいた。
「図書館司書の平田です。お世話になります」
あえて、初めましてと言わなかった。電話で話したが、そうではない。
「さあ、みんな。今日はここまでだよ、平田さんまた来てくれますか?」
「はい。院長先生のほうで館長と取り決め頂ければ、私は喜んでまた来ます」
「じゃあ、みんなのためにも館長と打ち合わせをしよう。みんな、また来てくれるから今日は本を返しましょう。また、貸してくれるからね」
「先生の言うとおりですよ。また来るからね」
「え、この絵本持ってきてくれる?」
「この絵本以外の面白い本も持って来るね。そしたら、今度は貸し出しできるようになるからね」