小児科医は癒やしの司書に愛を囁く

「わーい!借りられるの?すごーい!」

 子供達は私にまた来てねと言いながら、握手をしたり、バイバイと手を振って看護婦と一緒に部屋へ戻っていった。

「平田さん、こちらへどうぞ」

 本を片付け終わった頃に、看護師に言われてついて行くと院長室へ通された。

「失礼します」

「お疲れ様でした。どうぞおかけください」

「ありがとうございます」

 向かい合って座ると、住田先生は私をじっと見て頭を下げた。

「いつぞやは突然失礼な電話をして申し訳なかった。弘樹にもたっぷり叱られました」

「いえ。それより、お加減はもうよろしいんですか?入院されていたと聞いていました」

 にっこりと笑ってくれた。
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