小児科医は癒やしの司書に愛を囁く
「いいえ。そこでこの仕事が出来るのは私にとっても夢の実現です。あの頃からこういう仕事をしたいと思っていたんです。自分がずうっと患者家族としてここで時を過ごしてきたときから……」
「……平田さん。あなたは素晴らしい女性だな。今後弘樹のことで何かあれば力になります。何でも相談して下さい」
「ありがとうございます。お気持ちだけ頂きます。弘樹先生とのことはまだどうなるかわかりませんし、父にはいずれ私から話してみるつもりです」
「そういうところも平田さんがきちんとしている証拠だな。とにかく私はすっかりあなたの味方になりました。これからも病院共々よろしくお願いします」
「いえ、こちらこそよろしくお願いします」
安心した。とりあえず、院長先生に認めて頂けた。心の重荷がひとつ下りた瞬間だった。