小児科医は癒やしの司書に愛を囁く

「あら、院長。どうされたんです?」

 父が普段着で外来の裏に入ってきた。カルテを一枚俺に見せて言った。

「この患者が来るかもしれない。一応、最近のはパソコンに入っているが昔のことまで入っていない。来たらこれに目を通してくれ。アレルギー以外にも以前発作があった」

「わかった。あ、父さん。今日美鈴が午後来るだろ。いじめるなよ。夕べ怯えていたから、何かしたら承知しないからな。俺は真剣に付き合っているから……」

 父は去り際に振り返り、手を上げた。後ろから白衣を着た弟が入ってきて笑っている。

「兄さん。おはよう。朝からすごい脅迫ぶりだね。僕も楽しみにしてるよ、兄さんのいい人がどんな美女か。宝田先生のお嬢さんを振ってまでどんな人だろう」

 いや、佳奈美さんは大抵の女性と比べても俺は絶対選ばない。言っても詮無いことだが、弟も会えばわかる。まあ、人の好みはそれぞれだ。

「お前も、美鈴に俺のことで絡んだりしたら承知しないからな」
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