小児科医は癒やしの司書に愛を囁く
「母さんもそう言っていたよね。それは覚えている」
「だが、平田さんの奥さんがうちのことを色々周りに言ったらしくて、あっという間に悪評が広まった。それもあってたたむことにしたんだよ」
「……ということは?」
「精神的にかなり参っていたんじゃないかと思うんだ。ご主人が一度病院をたたむ前謝りに来た。奥さんを止められず申し訳ないと言われてね。お互い様だ」
「……そうだったのか。だとすると、美鈴のお父さんは俺との縁をよくは思わないだろうな。亡くなった奥さんのことを思い出すだけだ」
「まあ、そうかもしれないな。お母様の死因について聞く勇気は私もなかったが、昔のことを考えるとあまりいい予測がつかないんだ」
俺は頭を抱えてしまった。
「弘樹。お前、彼女のこと本気なんだよな?」
「ああ、もちろん。結婚したいと思っている」