小児科医は癒やしの司書に愛を囁く
「お前次第だな。だが、無理しないでいい。お前がここに来られないなら、妻の実家の病院から小児科医を派遣してもらう」
「実は宝田病院の今後についてだけど、父さんは何か聞いている?」
「いや。お前と佳奈美さんとの縁談も別に固執していたわけではなさそうだし、あちらのご長女はお前と同期なんだろ?小児科医か?」
「そう。あそこの三人の小児科医は皆同期。檜山と俺は高校の同級生だった。医学部は違うけれど。絵美がいるのであそこは絵美が継ぐだろう。俺と檜山はどちらかが出ても問題はないと思う。いずれ、絵美は許嫁の医師と結婚する」
「まあ、彼女は許嫁がいるからお前の相手には浮上しなかったんだよ」
「そうじゃなくてもどうにもならなかったけどね。檜山は最近あそこの看護師と付き合いはじめた」
「それで?お前はどうしたいんだ?」
「いずれ移植専門医の資格も取りたいと思っている」
「弘樹、お前。まさか、彼女の為か?彼女の弟のこと……」