小児科医は癒やしの司書に愛を囁く
父と娘
文恵さんが引っ越して一週間くらい立った頃。急に父から連絡が来た。一度会いたいという。
何事かと外の喫茶店で待ち合わせをした。私はいい機会だと思ったのでその時にひー君の事について詳しく聞こうと決めて父と会った。
「美鈴。元気そうだな」
「ええ、お父さんも元気そうで何よりです」
「今日は、お前の同棲している相手の話をしに来た」
「え?」
お父さんは私をじっと見つめて言った。
「彼から聞いてないんだな、やっぱり……」
「お父さん、何のことなの?弘樹先生がお父さんのこと訪ねたの?」
「亡くなったお前の弟のことを謝りに来た。そして、偶然お前と知り合い、真剣にお付き合いしていると話してくれたよ」
弘樹先生。どういうことなの?