小児科医は癒やしの司書に愛を囁く
「お前と病院で会ったことが何度かあったそうだ。お前と再会したときは全く気づかず、最近になって絵本を見て気づいたと言っていた」
「え?」
「お前が、弟が亡くなったとき先生に泣きながら詰め寄って、絵本を落として走り去ったと言っていた」
「……うそ……そんな。じゃあ、あれ、先生だったの?」
そういえば、病院の廊下で絵本を読んでいると話しかけてくれる小学生の男の子がいた。私はてっきり病院に来ている同じような病気の子の家族だと思っていた。
どうして私に直接話してくれなかったんだろう。
「お前は気づいていたんだろ?先生の父親が弟の主治医だったことに……」
「……うん」
「それなのに、彼にそのことを話さなかったんじゃないのか?」