小児科医は癒やしの司書に愛を囁く
おかしい。弘樹さんの気持ちはわかった。
「ねえ、誕生日はどこに行くんですか?」
「そうだな、秘密だ」
「……えー?」
「まあ、楽しみにしていろ」
「はい」
彼ににっこりと笑いかけた。驚いた顔をした彼は、下を向いた。
「何だ、その笑顔。まずい、どうしたら……」
「え?」
「子供達の気持ちがよくわかる。その笑顔。無敵だな。俺は最初からやられっぱなしだ」
そう言うと、私の横に来て手を取って立ち上がらせると、そのまま寝室へ連れて行かれてしまったのだった。その日は私も何の心配もなくなり、自分を解放してしまった。