小児科医は癒やしの司書に愛を囁く

 とりあえず、靴を二足くらい入れて、部屋を見回した。カーテンを二重にして、洗濯物をたたんで片付けた。
 弘樹先生に電話する。

 「はい。終わったか?早かったな」

 「はい。とりあえず、思いついただけ入れました」

 「よし。迎えに行くから出るなよ」

 そう言うと切れた。出るなよっていうことは、もしかして……柊さんがいたのかな?

 アパートの窓を覗いたら先生が上がってくるのが見える。電柱の柱に……いた。柊さんだ。怖い、怖すぎる。付いてきてもらってよかった。何をされるかわからない……。自分の考えが甘かったことを本当に痛感した。

 ピンポーンという玄関の音がしたので、ドアを開けた。

 「荷物はこれだけ?」

 スーツケースと保冷袋、靴を入れた大きな紙袋。あとはノートパソコンを大きな布製のバッグにいれた。

 「はいそうです」
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