小児科医は癒やしの司書に愛を囁く

 「よし。君はまだ中にいろ。俺が荷物だけ先に運ぶ。必ず鍵をしろ。いいな」

 「はい」

 弘樹先生は柊さんを見たんだろう。緊張の面持ちだ。私も気付いているので、先生に荷物を預けることに文句を言う元気もなかった。

 先生が荷物を両手に持って出ていった。私はすぐに部屋の鍵を閉めた。
 しばらくして先生が戻ってきた。
 
 「ありがとうございました」

 「よし、行くぞ」

 鍵を閉めて、二人で階段を降りていく。
 先生は私の背を軽く手で押して後ろから守るように歩く。

 怖くて電柱が見られない。

 ようやく駐車場に入り、先生が助手席のドアを開けると私を押すようにして座らせた。
 自分は立ったまま周りの見ている。
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