小児科医は癒やしの司書に愛を囁く

 「俺が守れるところ」

 弘樹先生が守れるところ?ん?そこって、まさか……。

 「ま、まさか……」

 赤信号で止まった先生はこちらを見てニヤリとした。

 「そう。俺んち」

 そう、俺んちってええー?

 「あ、あの。先生って実家なんですか?」

 「んな訳あるか、ひとり暮らしだ。病院近くのマンション。歩いて三分。ほら病院から見えるだろ、裏手の青いマンション」

 「男の人のひとり暮らしに、どうして私が行くんです?」

 「なに?俺と暮らすと身の危険でも感じる?俺は君を守るって言っただろ。君の心配は真逆だろ。別な危ない男に捕まったとでも思ってんの?」

 いやいや、そういうことを言っているのではありませんよ。

 「……先生のことは信用しています。というか助けて頂いて本当によかったと、さっき電柱のところで柊さんを見たときに血の気が引きました。私、軽く考えすぎでした」

 「そうだな。本当に危ないところだった。反省しろ」
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