小児科医は癒やしの司書に愛を囁く

 「反省してます。だからといって……先生は、恋人いないんですか?」

 「ああ、なるほど。そうだな、恋人がいたら君を守るとか言っても理解はしてもらえないだろうな」

 「そうでしょ?好きな人とかもきっとそうですよ。絶対先生恋人とかいそうです」

 「それが、今はいないんだ。俺にも悩みがあってね。君が相談に乗ってくれると嬉しいな。後で話すよ」

 「悩み?プライベートのですか?私にそんなの解決出来るとは思えませんけど」

 「どうだろうな。聞くだけ聞いてくれると助かるよ。それからどうしてもうちが嫌なら他を紹介するからさ。頼むよ、癒やしの美鈴さん」

 もう、子供達の親がそう呼んでいるから、ワザと言っているな。
 
 「もう。先生ったら。わかりました。お話伺ったらどうするか決めます」

 「よし、腹が減ったから飯食って帰ろう」

 一旦マンションの駐車場へ車を入れると荷物を載せたままこちらを向いてそう言った。そのまま先生行きつけのラーメン屋さんへ連れ込まれたのである。
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