小児科医は癒やしの司書に愛を囁く
偽装恋人?
「どうぞ」
「お邪魔します」
案内されたマンションはセキュリティのしっかりしたマンション。
先生の部屋はひとり暮らしには広いであろう3LDKだった。
急にお邪魔したのに割と片付いていて、弘樹先生がきちんとしていることがわかって妙に嬉しかった。
「うわあ、ステキ。病院の反対側って大きな公立公園ですけど、全部見えますね」
八階のリビングからの眺めは緑と広い公園。それに大きな湖。夜はライトで照らされて、ジョギングしている人がいるのが見えた。よく通る道なのに夜の景色ってこんなに違うんだと痛感した。
「そう?見慣れてしまうとあまりあれだけど、やっぱり緑がいいよね」
「こんな素敵なところにひとりでいるなんてもったいないですよ」
「これから君と暮らすんだから問題なし」
そう言うと、荷物を奥の部屋へ入れてしまう。
「一応ここがゲストルームなんだけど、荷物入れておくよ」
シンプルなベージュの壁紙でシングルベッドと机と椅子がある。十分だ。棚もある。
「十分です。ありがとうございます」
バスルームとトイレ、タオルなどの入っているところを教えてくれた。