小児科医は癒やしの司書に愛を囁く

 「本気かどうかはこれからの生活を見てから判断してくれていいよ。それに君の安全を確保できるまでは君もこの話に乗った方がいいんじゃないかなあ?」

 ニヤニヤしてみている。もう、しょうがないか。私も先生のことは……意識していたけど、縁談の話を聞いていたから毎週会えるだけで満足しようと思っていたんだ。偽の恋人でもいい。いずれ捨てられるかもしれないけど、今だけ先生の気持ちに甘えようと決めた。

 「……わかりました。じゃあ家事は全て任せて下さい。でも、気持ちばかりでもお金は入れさせてくださいね」

 「それはいらない。その代わりに僕の恋人としてきちんと振る舞って欲しい。他人が見てもわかるようにしないとね。ぎこちないのは困るんだ。僕の言うとおりにしてくれるなら、すべてタダでいい。ただし、ご飯作りはできるだけお願いするよ。掃除は共用部だけでいい。自分の部屋は僕がやるから。洗濯も自分でやる。家事はできるときだけでいいよ、君も働いているし」

 「……そ、そんな」

 「僕の恋人としての振る舞いが出来ないときはペナルティーとしてお金をもらおうかな。柊さんに諦めてもらうためには君も覚悟が必要だからね」

 「わ、わかりました。頑張ります」

 嬉しそうに笑ってみている。
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