小児科医は癒やしの司書に愛を囁く

 貸し出しもしていて、その手続きも読み聞かせの後にするのだ。

 今日も二冊ほど読み聞かせをした。子供達は目を輝かせて聞いている。隅にいる小さな子はお母さんにもたれたまま、二冊目を読んでいるうちに寝てしまった。

 「はい。じゃあ、貸し出し返却の受付をはじめます。並んで下さいね」

 小さな機械を出してバーコードを読み込みながらみんなの貸し出しカードをスキャンしていく。横にはパソコンもあり、こんな絵本を借りたいとか要望があれば予約も出来るようにしているのだ。

 「あ、弘樹せんせいだー」

 廊下を歩いてきた緑のスクラブを着た背の高い先生がこちらをのぞいた。

 バタバタと子供達が先生の周りに走って行き、手を引いて連れてくる。

 「こらこら、先生はお仕事中だ」

 「せんせいみてー。このえほん、かわいいでしょ?」

 「ああ、かわいいな。これはたぬきか?」
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